RCAケーブル「MGL-1000R」、ACケーブル「MGL-1000A」の感想をいただきましたので紹介いたします。
音楽ジャーナリスト Gさん
(お客さまの感想)
ひと言でいうと、音像はナチュラルで基音中心の描き方。倍音や間接音の表現は控えめで、密度感の高い凝縮された音彩といえる。響き的にはややデッドで、解放的な鳴り方というよりは端正な定位感が印象に残る。音場的には、スピーカーの内側に高密度に展開するタイプ。付帯音は少なく、色彩感も明る過ぎず、暗くもなく自然。SN比がかなり良いので透明度が高く、情報量は多く、原音そのものの芯や質感を良く表す。
たとえば、各パートに世界の名手がそろう、カラヤン&ベルリンフィル70年代の録音などは、ともすればケーブルによって、まばゆさやメタリックな色彩感が強調されがちだが、ティグロンの場合、決して総奏でもきつい響きに陥ることはなく、各セクションの客観的な表現がきちんと出てくる。個人的には内声部が充実した鳴り方が好きで、朗々と艶っぽく豊かに鳴る音に「音楽性」を見出してきたこともあり、多少のマスキングは「必要悪」として大目にみてきた。しかし、このように高い次元で透明感と豊かさを両立してしまうと、最新の音づくりへの認識を改めざるを得ない。
したがって音のまばゆい輝きや馬力、誇張を一義的に求める人は、違う選択肢がありそう。通常、このような傾向だと、寒色系でドライな音色を想像しがちだが、実際に音色は全体にしっとりとしていて粘りとしなやかさもあり、質感的には暖色系に入る。しかし、トータルでいうと暖色系でも寒色系でもない、中間的な音づくりだと思う。唯一、課題があるとすれば、最低域への伸びや切れ込みの深さ、「タメ」を感じさせる陰影感のようなものだろうか。その分、オーディオ機器の特性をかなり反映するケーブルであると感じた。